十倍粥やペースト状の野菜などをスプーンで食べさせる従来の離乳食ではなく、最初から蒸した野菜やお肉などの固形食を与えるBLWという方法をご存じでしょうか?
SNSなどでブロッコリーや骨付き肉を頬張る赤ちゃんを見て興味を持った方もいるかもしれません。
一方で、SNSを見ていると、見よう見まねの知識で危険なBLWを行っている投稿や動画も少なくないです。
この記事では、BLWを始めるにあたって知っておいた方が良いことや、実践して感じたBLWのメリット・デメリットについて解説していきます。
赤ちゃん主導の離乳食 BLWを解説
BLWとは?
BLWとは、Baby Led Weaningの頭文字をとった言葉で、「赤ちゃん主導の離乳食」と訳されます。
赤ちゃんが自ら食べる順番や食べる量を選んで、赤ちゃんのペースで食事を進めていく離乳食のメソッドです。
イギリスの助産師・保健師、Gill Rapley(ジル・ラプレイ)氏が提唱し、イギリスで社会現象となり、世界中へ広まっていきました。
従来の離乳食とBLWの違い:「赤ちゃん主導」がポイント
最初から固形食を与えるのがBLWっていう認識であってる?
見た目のインパクトからも、BLWは固形物を手づかみで食べる方法だという認識が先行しがちですが、BLWの本質は手づかみすることではありません。
BLWの本質は赤ちゃん主導で食べることです。
赤ちゃんの意思を尊重して信じることを大切にしています。
また、BLWと従来の離乳食を比較する上で、赤ちゃんの目線に注目してみましょう。
従来の離乳食では、親がスプーンで赤ちゃんの口に食べ物を運びますが、その際、赤ちゃんの目線は親に向かいます。
一方、BLWの場合は赤ちゃんの目線は食べ物に向かいます。それによって、食べ物に対して主体的に向き合うことができます。
また、親の役割も従来の離乳食とBLWで異なります。
従来の離乳食では、親の役割は赤ちゃんにご飯を食べさせることですが、BLWでの親の役割は食べている様子を見せることです。
赤ちゃんは、周りの家族が食べている様子を見て、食べることを学ぶことができます。
BLWを実践した私が感じたメリット
私がBLWを実践して、メリットに感じたポイントは以下の通り。
- 赤ちゃんの好奇心を満たせる
- 手先が器用になる
- 離乳食を準備する負担が減る
- 家族みんなで食卓を囲めて楽しい
それぞれ詳しく説明します。
赤ちゃんの好奇心を満たせる
BLWでは、赤ちゃんが主体となって食べ物を食べることができます。
私は最初、従来の方法で離乳食を進めていましたが、途中からスプーンの取り合いになったり、ベビーチェアから抜け出そうとするようになり、BLWに切り替えることにしました。
BLWに切り替えて、娘が自分で何かを掴みたいという欲求持っていたことに気づきました。
赤ちゃんが自分で食材を観察して、自分が食べたい順番に食べ物を食べることができるので、好奇心を満たすことができます。
遊びの時間のように、赤ちゃん自身が楽しんで食事をしているように感じました。
手先が器用になる
食べ物を観察して、食べ物を掴んで口に運ぶ動作を繰り返すことで、目と手の連動を学んで指先の発達を促すことができます。
実際、BLWを実践していた娘は同じ月齢の子と比較して、つまむ動作を早く習得していました。
とは言え、BLWを行ったから将来にわたって手先が器用になるわけではないと思います。
食事以外の時間でも赤ちゃんが手指を使う時間はたくさんあるので、BLWをやらないと不器用になる訳ではありません。
ですが、BLWを実践していると、最初は掴んだものの離し方が分からなかった赤ちゃんが、どんどんと手の扱いが上手くなり、食材を持ち替えたり、つまんだりする動作を覚えていく様子がよく分かり、非常に面白かったです。
- 手でつまむ
- 柔らかいものを上手に扱う
- 滑りやすいものを掴む
離乳食を準備する負担が減る
従来の離乳食だと、10倍粥や野菜の裏ごしから始まりますが、BLWでは普段の食事からの取り分けがベースになってくるので、赤ちゃんのためだけにペースト食を作る必要がありません。
ブレンダーやこし器を持っていなくても、わざわざ買わなくて済みます。
味付けをする前のお味噌汁や煮物などから取り分ければ良いので、簡単に準備ができます。
家族みんなで食卓を囲めて楽しい
従来の離乳食の進め方だと、親がスプーンで赤ちゃんの口に運んであげる必要があります。
そのため、離乳食の時間は赤ちゃんだけ食べて、親は他の時間に食べることになりがちです。
BLWの場合、赤ちゃんは自分で食べるので、親も一緒に食卓を囲むことができます。
親が食べる姿を見て真似ることによって、赤ちゃんも食べ方を学ぶことができます。
また、副次的な効果ですが、親の食生活を見直すきっかけにもなります。
赤ちゃんに健康な食事を与えようと思うと、取り分けをする元の親の食事も健康でないとダメだからです。
BLWを実践した私が感じたデメリット
- とにかく汚れる
- 特に初期は食材がもったいないと感じることも
- 外出時の対応に困る
それぞれ詳しく説明します。
とにかく汚れる
最大のデメリットはとにかく汚れることです。
あらためて言わなくてもご存じのところだと思いますが…。
従来の離乳食でも汚れると思いますが、BLWだとより汚れます。
長袖のエプロンをしたり、床に新聞紙などを敷くことである程度防げますが、やっぱり掃除の負担は大きくなります。
汚れ対策はしつつも、汚れるのも楽しむくらいの心持ちでいないと、ストレスになってしまうかもしれません。
特に初期は食材がもったいないと感じることも
だんだんと食べるのが上手になってきますが、最初のうちは食べる量よりも握りつぶしたり床に落としたり、無駄にする食材の量が多いです。
このぐらいの力で握るとつぶれるのか…!
モノを投げると飛んでいくのか…!
そんなことを赤ちゃんが学ぶ期間なんだと割り切って考える必要があります。
食べ物を粗末にしていると感じると心苦しくなってしまうかもしれません。
外出時の対応に困る
家では汚れ対策をするとして、外出時はどうすれば良いの?
そんな疑問を持つ方も多いですよね。
実際問題、外出時もBLWを実践するのは難しいと感じる場面も多いです。
さすがに外出先で大胆に汚すわけにもいきません。
短時間の外出であれば、パン、バナナ、干し芋などが散らかりにくくておすすめです。
その際は前後の食事でバランスを取るようにします。
また、「くちどけおこめぼー」という米菓子も塩・砂糖が入っておらず、BLW実践者の強い味方です。
親の食事から取り分けするなら、温野菜やチキンが乗ったサラダなどがおすすめです。
ドレッシングは別添えにしてもらいましょう。
とは言え、毎回BLWを徹底するのは少々ハードルが高いです。
BLWの始め方を説明
BLWはいつから始められるの?
支えなしで自分で座れる、あるいは軽く支えがあれば自分で座れることがスタートの条件です。
時期としては、生後6ヵ月が目安となりますが、あくまで目安です。
パンダのように背中が丸くなるような座り方をしてしまう場合は、スタートを焦らず、まっすぐ座れるようになるまで待ちましょう。
BLWを始めるのに必要なものは?
BLWだから特別これが必要!というものはありませんが、以下については準備しておきましょう。
- 正しい姿勢で座れる赤ちゃん用のイス
- 汚れ対策
正しい姿勢で座れるイスを準備しましょう。
Bambo(バンボ)のように、腰や背中が丸くなるようなイスだと上手く飲み込めずに誤嚥の原因になることも。
まっすぐ座れて、足裏がしっかり着くイスに座ることが大切です。
我が家ではストッケのトリップトラップを使っています。
高さが調整でき、テーブルも取り外して洗いやすく、使い勝手が良いです。
BLWセミナーでもおすすめされていました。
汚れ対策としては、赤ちゃんが嫌がらなければ長袖エプロンがおすすめです。
スタイだと、肘の汚れが防げないのと、テーブルと身体の隙間から食べ物や汁物がこぼれて、ズボンまで汚れてしまうこともしばしばです。
あと、床汚れ対策もしておきましょう。
新聞を取ってないご家庭は、マスカーテープを使うのが安くて簡単でおすすめです。
ダイソーでも買えます。
我が家の場合は、マスカーテープを知った時には、あまり床に食べ物を落とさなくなっていたので、使用してないのですが、SNSで絶賛されていたので、ご紹介しました。
どんな食べ物をあげればいい?
栄養素と形状を考え、赤ちゃんが選び取れるように3~6種類の食べ物を準備しましょう。
最初は大人の指のサイズの蒸し野菜などが赤ちゃんが掴みやすいです。
- 健康的な食べ物を3~6種類準備する
- 少なくとも一日一回は五大栄養素の食品目の中から一品目
- 赤ちゃんが食べられる大きさや形のものを提供する
また、BLWに限った話ではないですが、6ヶ月を過ぎると母乳だけでは鉄分が不足しがちになるので、鉄分を多く含む食べ物は積極的に出すようにしましょう。
BLWで避けるべき食材は?
健康的な食べ物であれば、提供してはいけない食材は少ないですが、のどに詰まりやすい食べ物は窒息の危険があります。
離乳食時期は避けるか、提供する形に注意するようにしましょう。
- 小さくて固いもの(生のにんじん、生のりんご、ナッツなど)
- 小さくて丸いもの(ミニトマト、ブドウなど)
- 皮つきのもの(ソーセージ、チキン、さつまいもなど)
- 圧縮しやすいもの(パン、ポップコーン)
他にも、はちみつ、十分に加熱されてない肉や魚介類、塩分・砂糖が必要以上に含まれる食品など、通常の離乳食でも避けるべき食品もNGです!
BLW実践中に注意すべきこと
他に注意すべきこととしては、
- 食事に集中できる環境をつくる
- 絶対に赤ちゃんから目を離さない!!
ということも重要です。
特に、絶対に赤ちゃんから目を離さない!ということは守りましょう。
BLWは赤ちゃん主導で行いますが、決してほったらかしにして良いわけではありません。
赤ちゃんの安全はママが管理する必要があります。
BLWに限らず、赤ちゃんが食べている間は、しっかりと観察するようにしましょう。
参考資料
従来の離乳食を学ぶには、本や動画も数多くありますが、BLWに関する情報はそれほど多くありません。
私がBLWについて学ぶのに役立ったと感じる動画や本などをご紹介します。
より深く学びたい人は是非チェックしてみてください。
YouTube:BLWの概要を学べるセミナー動画
日本BLW協会の理事を務めている歯科医師 山田翔先生が行った下記BLW講座ダイジェストの動画が非常に分かりやすかったです。
本:BLW(赤ちゃん主導の離乳)をはじめよう!
現在、日本語で読めるBLWの本は2冊のみですが、そのうちの1冊です。
BLWは取り分けが基本で「これをあげましょう!」という例がないので、何をあげていいか迷いがちですが、この本はレシピの例なども載っていて読みやすかったです。
もう1冊の本はいかにも翻訳という文体だったり、習慣が日本と違っていたりで少しとっつきにくい印象なので、どちらか選ぶとしたら、こちらをおすすめします。
まとめ
この記事では、BLWの始め方やメリット・デメリット、そして注意すべき点について説明しました。
離乳食をどうしようか迷っているママの手助けになったらうれしいです。
BLWを実践するにしてもしないにしても、納得して楽しく離乳食が進められることを祈っています!
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